https://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.1080/02640414.2011.610348
筋グリコーゲン、血中グリコーゲン:筋肉収縮に必要な気質、不足すると疲れる。
汗による水分損失を体重の2-3%内に抑える。水の飲みすぎで、低ナトリウム血症にならないようにも気を付ける。
カーボローディング
90分以上の運動では、カーボローディングにより2-3%パフォーマンスが上がる。
十分に訓練された持久力アスリートは、負荷の前に枯渇段階を無しでカーボローディング状態にできる。
必要な炭水化物量は、5-12g/kg・日と幅がある。
10 g/kg・日→13 g/kg・日にしてもパフォーマンスが上がらなかった報告もある。
グリコーゲン1gにつき、水分3gが保持され、体重が増えることに注意。
運動前60分以内の炭水化物摂取
- 運動前の数日間の高炭水化物の摂取、および運動の3〜4時間前の炭水化物の摂取は、運動パフォーマンスにプラスの影響を与える可能性がある。
- 運動の30〜60分前に炭水化物を摂取するとパフォーマンスに悪影響を与える可能性がある。
- 運動の1時間前に炭水化物を摂取すると、高血糖と高インスリン血症を引き起こす可能性があり、運動開始後15〜30分で血糖値が急激に低下する。これにより筋グリコーゲンの枯渇を招く。
- 1時間前の炭水化物摂取でもパフォーマンスが下がらないという研究もある、運動初期の血糖値の急激低下は、パフォーマンスに影響を与えないという研究もある。
- 血糖値の急激低下が起きるかどうかには個人差があり、インスリンへの感受性の差によると考えられる。食べなれたlow glycaemic indexの炭水化物を選ぶ、もしくは運動前の5-15分前に摂取する(運動中に摂取した際の挙動に似る)、もしくはウォーミングアップ中にとると良い。
運動前の水分摂取
- 脱水症状によるパフォーマンス低下を避けるため、運動4時間前から5–7 mL/kgをゆっくり飲むべき。尿が出にくい、尿が濃い、または濃度が高い場合2時間前から3–5 mL/kgをゆっくり飲むべきである。
- 試合中に排尿しなければならない、低ナトリウム血症のリスクが高まる、などがデメリット。
試合中
炭水化物の摂取
- 2時間以上の運動で、摂取することで代謝系に良い影響がある。
-
75% VO2maxでの1時間程度の短時間の場合でも、パフォーマンスが向上する例がある。中枢神経系に効く。
- 炭水化物で口を漱ぐだけで効果がある。味は関係ない。仕組みはよくわかっていない。
- グルコースの腸への吸収スピードは、ナトリウム共役型グルコース輸送体(SGLT1)が速度律速であり60g/h、ほかの炭水化物(フルクトース)は1g/minの速度で酸化するのが観察されている。
- SGLT1のみよりも、他のいくつかの輸送体を使ったほうが高い酸化率を示すことがわかっている。
- 飲料ではなく、ジェルまたは低脂肪、低タンパク質、低繊維のエネルギーバーの形でもよい。
- 炭水化物60 – 80 g/hの摂取が一番パフォーマンスが上がるという研究がある。
- アイアンマンディスタンスのトライアスロン中の平均炭水化物摂取量は、女性1.0 g/kg BW・h、男性で1.1 g/kg BW・h。サイクリング中に非常に大量の炭水化物を摂取することによって、これらの炭水化物摂取量を達成している(約1.5 g/kg BW・h)。ランのときの3倍量。男性は摂取量とタイムに正の相関がある。女性はなし。
- サイクリングおよびトライアスロンイベントで最も炭水化物摂取量が多く、マラソンで最も摂取量が少なかったという研究結果がある。
- ランニング中は I型筋繊維(遅筋型筋繊維)の筋グリコーゲンの分解が減少するという示唆がある。しかし、外因性の炭水化物の酸化は、サイクリングとランニングで類似しているようであり、サイクリストとランナーどちらも炭水化物を摂取すべきである。
### 腸のトレーニング
- 炭水化物の吸収は、鍛えることができる。
- 普段多くの炭水化物を含む食事をとっている者は、炭水化物消費の吸収能力が増すしているとされる。
- 毎日5 g/kg BW・hの摂取量のコントロールと比較して6.5 g/kg BW・h摂取量まで鍛えられた報告がある(うち1.5 g/kg BW・hはトレーニング中に摂取)。
水分バランス
- 90分以上続く運動の間は、体重の減少を2-3%に抑えるとよい。
- 塩分や炭水化物をスポーツドリンクに追加することで水分の吸収が増す。
カフェイン
- 持久力パフォーマンスの改善が得られる。
- カフェイン摂取が非習慣的か習慣的かは、あまり関係ない。
- 習慣的にカフェインを摂取しているプロサイクリストが、4日間カフェインを絶った後でも、カフェイン摂取でパフォーマンスが上がることが確認されている。
- 血漿中濃度のピークまでの時間30〜90分、半減期約5時間で吸収される。
-効果的な摂取方法は、運動開始の60分前に3 mg /kg摂取し、その後2時間ごとに1 mg/kgの摂取。(コーヒー100mlでカフェイン60mg。試合前1時間前にコーヒー1.5杯!)
-運動の後半にのみ摂取した場合でも、カフェインは依然として効果的である。